こんにちは、saccoです。
今日はキャンバスの張り方について。
美大生さんだったら、結構、あたり前な作業かも知れませんが、趣味で絵画を描いている人の多くは、張りキャン(張り上がった状態で市販されているもの)を使用される事が多いのでは、と思います。しかし、永らく絵を続けていると、自分で張ってみたい、というニーズが発生するのではないでしょうか?キャンバスを自分で張る、って、ちょっとハードル高いよね、と思われている皆さんに、限りなく不器用なsaccoにでもできる簡単キャンバス張りのご紹介です。
自分で張る目的
では、どういう理由でキャンバス張るの?ちょっと目的を整理してみましょう(絵画的に、というよりも多分におばさんちっくな実用的ニーズが多いですが。^_^;)
- 規格サイズ以外の作品が描きたい
表現したいものが段々と多様になり、自分ならではのオリジナリティを求めだすと、量販の規格サイズとは違った作品が制作したくなってきます。スクウェアとか、横長~、とか、かっこいいんだよね。 - パネルのスタイルで飾りたい
油彩の額縁ってなんだか重々しいし、カジュアルなお部屋に軽い感じでなじむパネルスタイルってオシャレですよね。プレゼントにもいいし、展覧会に出すにも額が要らないのって軽くて扱いらくらく~~ - 作品の置き場がなくなる
永年を続けていると、作品はどんどんたまります。頑張って描いたしなあ、捨てるのも惜しいしなあ、思い出の作品だしなあ、、ということで、どんどん、どんどん。。。やがて一部屋は絵画用の納戸部屋と化します。そして、限界値を超えると、キャンバスを木枠からベリベリ、ベリベリ、と剥がし始めます。剥がしたキャンバスは場所を取らないので束ねて保存することにして、さて、この木枠、何か有効利用できないかなあ、、、 - コストがかさむ
最初の頃は画材屋さんの束にして売っているお安いキャンバスを使っているのですが、だんだん、素材の違いが分かるようになり廉価版のキャンバスでは満足できなくなってきます。結構、コストかかるのよねえ。。。
と、まあ、現実的なニーズばかりですみませんが、ま、理由が何にせよ自分でできることが増えると選択肢が広がりいいことばかりです。
必要なもの
- キャンバス地
画像は画材屋さんで購入したロールで売ってるキャンバスを自分で必要なサイズにカットした状態です。今回はパネルスタイルに仕上げるので、キャンバス地をぐりっと巻き込んで木枠の裏面で留めることができるようにカットするサイズを決めます。慣れないうちは、少し大きめにカットすると引っ張る作業がやりやすいです。因みに、いきなりロールで買うのに抵抗がある人は、必要なサイズにカットしたキャンバス地も売っていますよ。 - 木枠
画像はベリベリ剥がした後のF6サイズの木枠です。木枠には表裏がありますから注意してください。枠の外側から内側に向けて斜めに低くなっている方が前(キャンバスを貼る面)です。この凹みにより、キャンバスの表面は太鼓のようにパンパンと張っています。描画する時にいい感じの反発が生じます。また、木枠は再利用できますが、何度か使うと、釘やガンカッターの穴が一杯開き、やがて打つ場所がなくなります。3回くらいまでは再利用できますので、ガンガン描いて、バリバリ張り替えましょう。 - キャンバス張り機
左側の赤い持ち手のものがキャンバス張り機。これ必須です。 キャンバス張り機には、使いやすいもの、使いにくいもの、いろいろあります。私は大阪では有名な笹部という画材屋さんの張り機が使い安いとの評判を聞き、そちらを購入しました。たしか¥2000前後であったと記憶しています。その他のものも使い比べてみましたが、笹部オリジナル、お勧めです。滑らずしっかり引っ張れます。 - ガンタッカー
右手の青いものです。キャンバスは釘で留めた方がしっかりするのかも知れませんが、助っ人がいない場合は釘打ち難しいです。不安な場合は、ガンタッカーで仮止めした後で釘打ちするといいでしょう。
キャンバス張りの手順
さて、いよいよ張っていきますよ。
カットしたキャンバス地の真ん中に木枠を置き、まず長辺の真ん中をガンタッカーで留めます。(赤字1)
そして、対辺の真ん中(赤字2)を留めます。キャンバス地を張り機でぐ~っと引っ張り、背面に巻き込み、張り機の支柱になる部分を木枠に押し当てて、てこの原理でぐぐぐ~っと引っ張ります。十分に引っ張れたらもう一方の手でキャンバス地をキープして、張り機をガンカッターに持ち替えてズガ~ンと打ちます。
留める順番は画像のとおり。長辺の真ん中、次に向かいの長辺の真ん中、次に短辺の真ん中、向かいの短辺の真ん中。(赤字の1~4)
四箇所がしっかり留まったら、後は順次横に留め進めます。だいたい7~8cmくらい間隔をあけるといいでしょう。必ず、一箇所留めたらその点対称をしっかり張って留めます。(黄色字の5~隅っこまで)
個人差あると思いますが、引っ張るのには結構力が必要です。木枠がギシギシ言うくらいしっかり引っ張らないと、パーンと張ったキャンバスになりませんので、手のひら痛くなりますが、頑張ってぐぐぐう~、と引っ張ってくださいね。
最後に角の処理です。今回は額装無しのパネル仕様にしたいため、隅っこ綺麗に折り込んで後ろで留めますよ。
こんな感じでできがりです。
どうだったでしょう?画像ではわかりづらい点もあったかと思いますが、いろいろと試してみてください。
麻のキャンバス地は湿ると延び乾燥すると張ります。伸縮率激しいです。
ですので、キャンバス張りは湿度の高い日が最適です。
慣れないうちは、うまく張れずに画面が波打つことがあります。多少の緩みであれば、麻の伸縮を利用し、背面から霧吹きで湿度を与えドライヤーで速乾するとパリーっと綺麗に張りますよ。うまくいかない時には試してみてください。
キャンバス張り、難しそうだけど、こつを掴めばそんなに難しい作業じゃないですよ。
是非是非トライして、制作の自由度をアップしてくださいね。
以上、長くなりました。
本日もお付き合い、ありがとうございました。