こんにちは、saccoです。
今回は混合技法の制作の進め方についてレクチャーしますよ。
制作にはインプリミトゥーラまで完了した支持体が必要です。
支持体の作り方はこちらを参考にしてくださいね。
下書き
さて、支持体ができ、いよいよ描画に入って行きます。
先ずは、エスキース(下書き)を作りますよ。
どのような作品を作るか、そこは皆さんの独創性を発揮する最重要な工程です。
迷いすぎると一向に描画に入れませんので、適当なところで手を打ってぐんぐん進みましょう。
とは言っても、やはりそれぞれの画材にはそれに合った画題というものがあります。
混合技法は、し~っかり、じ~っくり絵具を重ねますので、水彩のような軽やか爽やか、とは違い、ネチっこくて深~い味わいが魅力の作品を目指しましょう。saccoはそこに少し毒っ気のエッセンスを加えるのがお好みです。混合技法といえば、なんと言っても、その代表選手はヒエロニムス・ボッシュではないでしょうか。参考にしてみてくださいね。
で、今回、saccoはお友達んちの飼い猫ちゃんの、ちと~っとした表情に魅力を感じ、ネコを主題とした寓意画を描くことにしました。
一つ、気をつけないといけないのは、混合技法はその制作方法から、描画しながら画面を動かして行くのはとても苦手な技法です。ですので、エスキースの時点でできるだけ細部までしっかり形を決めていきます。
この段階で、どこまで描き込むか、これは経験です。saccoも試行錯誤中です。
細部の詳細な描画はエスキースでは省いて、本画で描き込めば良い場合もあります。
それでもエスキースの段階でしっかり描く事により事前学習ができますし、回り道に思えても無駄にはなりません。慣れてくれば省略もありですが、どこまで省略できるか解らないうちは、まずエスキースの段階でしっかり描くことをお勧めしますよ。
トレース
エスキースができたら、支持体に転写します。
まず、下書きのコピーをとり、コピー用紙の裏側に油絵の具を薄く塗ります。
絵具は不透明な色を選びましょう。パレットの上でペインティングナイフで練って柔らかくします。固めの場合は少しテレピンを混ぜて練り込みます。
練った絵具をコピー紙に塗ったところは以下のとおり。
絵具は厚くならようにナイフで薄くのばし、手で抑えても絵具が手に着かないくらいにします。厚くなっている箇所があれば布などで抑えて取っておいてください。
絵具が塗れたら、ボールペンなどでしっかり支持体に転写します。
ちょっと分かりにくいですが、こんな感じで転写できます。
黒でコピーを取った場合は、赤いボールペンを使うと転写漏れがありませんよ。
白起こし
転写が終わったら、最初にするのは白起こしです。
白起こしとは、白色のテンペラ絵具を使って対象を描き込んでいく作業です。
混合技法は、明るい部分を白テンペラで描き起こして行くことで描画を重ねます。
鉛筆デッサンで陰の部分を描き込んでいくのと全く逆のアプローチとなります。
光を描くのです。
テンペラ絵具を入れるには、画面を油性の溶剤で濡らしておきます。この溶剤に線描きでテンペラ絵具を入れていく感じですね。
溶剤は以下の分量を混ぜ合わせてつくります。
・サンシックドリンシード :1
ホルベイン 画用液 サンシックドリンシードオイル 55ml 乾性油/油絵/油彩
・マスチックバニス:1
【エントリーでポイント10倍】マスチックバニス 55ml ビン入 クサカベ画用液
・テレピン:2
ホルベイン 画用液 ターペンタイン (テレピン) 画用液 55ml 揮発性油/溶剤/油絵/油彩
上記の溶剤にムッシーニのトランスオレンジオキサイドを混ぜて画面全体薄く塗りました。saccoは溶剤を作る際にダンマルを使わずマスチックバニスを使っています。
ダンマルほどニチャニチャせず、パリっとした感じになります。少しお高くはなりますが小さな容器(55ml)のものであれば大丈夫。使う量は僅かです。
白テンペラは、チタニウムホワイトのルチルに、エッグメディウムを混ぜて作ります。
一回の描画で使う量は僅かですので、残った分は密閉できる容器に入れておけば1ヶ月くらいは大丈夫です。
さて、溶剤の上から白起こしをしたネコちゃんはこんな感じです。
下は、一層目の白起こしをした上に薄く溶剤で溶いた絵の具を塗り、更に部分的に白テンペラを入れたところです。
後は、延々とこの作業を繰り返し画面を作り込んで行きますよ。長~い道のりです。
さて、本日は混合技法の下書きから白起こしまでをご紹介しました。
作品の進捗に応じて、具体的な描画のこつなどもご紹介していきたいと思います。
また、遊びにいらしてくださいね。
本日は、最後までお付き合いいただきありがとうございました。