こんにちは、saccoです。本日は、前記事に引き続き旅情報です。
観に行ったのはピエロ・デッラ・フランチェスカの『出産の聖母』という作品です。
私の作品紹介では、時々、混合技法やテンペラ画、などというワードが出てきますが、これは古典的な技法であります。もともとフレスコなどの古典技法を取り入れた有本利夫さんの作品が好きで、有本さんの芸大の卒業制作『私にとってのピエロ・デッラ・フランチェスカ』という作品を通じ、ピエロを知りました。
ピエロはイタリアのトスカーナにあるアレッツォの近郊、サンセポルクロの出身であり、アレッツォ界隈には、ピエロの作品を鑑賞できる美術館が点在しています。
ピエロの作品に逢いに行こうとアレッツォに訪れたのは、もう5年も前の事です。
ピエロ作品の中の一つ、『出産の聖母』という作品はアレッツォからほど遠からぬモンテルキという小さな街(コムーネというらしい)の美術館に展示されています。
行きたい、でも、どうしたら行けるのか。。。ガイドブックを見ても殆ど情報が無い小さな小さな美術館、その名も『マドンナ デル パルト美術館』。そそられる。。。なんとか現地で情報を仕入れ、アレッツォ駅前から路線バスに乗って行ける事が判明しました。しかも、バスの本数は僅少。この不便さがまた、たまらないのでした。
利用したバスの時間は以下のとおり。
アレッツォ 10:45 → モンテルキ 11:27
モンテルキ 14:10 → アレッツォ 14:50
上記は2014年の情報ですから、現在は時間も変わっていると思いますが、一日に数える程しかないバス便は今も変わっていないのではないかと思います(行かれる方は現地で調べてね)。
さて、5年前の3月、良く晴れた早春の良き日、モンテルキを目指しました。
アレッツォからバスに乗りやっとモンテルキのバス停に着いたものの、降りる乗客もなく、降りても人気(ひとけ)なく、美術館へのガイドも無く、、、なんとも心許ない思いをしつつ、こっちかな~と思いながら、こんな景色を愛でつつ独り美術館に向かいました。
あったあった、ようやく美術館に到着。
始めて観光客らしき人影を見かけました。
美術館の中も殆ど人気(ひとけ)はなく、上品で人の良さそうなお兄さんがステキな笑顔でお迎えしてくれました。
そして出会った『出産の聖母』。
作品保護のため暗室の中で、何百年の月日を超えて、そこに静かに佇んでいました。なんという静謐な空間。言葉はありません。おそらく口は半開きになって、惚けたように作品に見入ってました。
そこに流れるサラサラ、サラサラとした時間は、私の下手な文章で表現できるようなものではなく、、、どうか、興味を持たれた方は現地に出かけて味わって来てください。
美術館には聖母の作品以外に、作品に使われている画材や制作方法などの展示物もあり興味深かったです。
さて、鑑賞を終えた後は美術館のお隣のレストランのテラスで、幸せなランチを頂き、
ちょっといい気分になって、もう一つ、小さな博物館に行き、バスに乗ってご機嫌でアレッツォに帰って来ました。
ブログにこの記事を書こうと思い、久しぶりに画像を探し、文章を綴るうちに当時の幸せな気分で一杯になりました。
永年生きてくると、こうした幸せな記憶が、気がつくと心の中に静かに積もっていて、そんな記憶が私の宝物だなあ、としみじみと感じるのでありました。
本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。