こんにちは、saccoです。
今日は白亜地の支持体の作り方をご説明します。
sacco自身、何度か作成しておりますが、毎回、すっかり手順を忘れてしまうので(^_^;)自身の備忘録でもあります。永久保存版ね。
今回はシルバーポイントの作品を作る事が目的です。
シルバーポイントとは、銀の芯を使って鉛筆で描くように描画する技法ですが、銀が削れるためには研磨性のある堅い支持体が必要です。混合技法の支持体で使用している石膏地では柔らかすぎて描画できません。もちろん紙にも描けません。簡単に作成したい場合にはアクリルジェッソを使う、という手もありますが、天然素材、白亜のマットなテイストは魅力的です。
準備するもの
・板(シナベニヤ 5.5mm厚)
今回は3号サイズの小さな板を作るので5.5mmのシナベニヤを使用しました。6号~の大きめの支持体を作る場合は、板が反る事があるので9mm厚がお勧めです。MDF等の合板を使用すれば反りにくいですが重たくなります。シナベニヤを購入する時は反りの無い綺麗な板を選びましょう。
因みに作品完成後、市販の規格サイズの額で額装する場合は、気持ち小さめ(1辺2mm程度狭く)に板を切ります。側面に塗った白亜地の厚みで最終形は少し大きくなります。
・ウサギニカワ
板を今後もたくさん作成する場合は1kg入がお勧めです。
・白亜
白亜(ムードン)も1kg入りを準備しました。
・チタニウムホワイト
チタニウムホワイトには、ルチル(油溶性)とアナターゼ(水溶性)があります。通常はルチルを使用するとのことですが、今回は自宅にあったアナターゼを使用してみました。
・麻布
目が粗く、柄がない生成りの布を購入しました。麻布は板に巻き込んで後ろに糊しろが2cmほどできるくらいのサイズに切断しておきます。
麻布の貼り付け
・ニカワの膨潤
ニカワは水に一晩浸けて膨潤(ふやかして)しておきます。しっかり水分を吸って膨らんだら湯煎でサラサラになるまで煮溶かします。ニカワは高温で熱すると接着力がなくなりますので、必ず湯煎にします。
通常、7%の濃度で作りますので、500ccの水に対し、ニカワは35g。きっちりメジャーで測りましょう。因みに今回は、3号サイズの板を4枚作成しました。麻布の貼り付けまでに250ccほど、白亜地用に300ccほどを使いました。
因みに膨潤したニカワは魚の煮こごりと同じですので日持ちはしません。数日に分けて作業する場合は冷蔵庫に保管し2~3週間以内には使い切るようにしてください。
・板にニカワの塗布
裁断したベニヤは裏面および側面にニカワを塗ります。
裏面が乾いたら表にも塗布します。板がニカワを吸い込みすぐに乾くので、表面は多めに塗ります。
・麻布の貼り付け
ニカワで濡れた状態の板に麻布をおきます。均等な位置に来るように気をつけ(布目と板の底辺が水平になるように)隅を手で押さえて固定します。
適当な位置に布を置いたら、ヘラを使って布を貼り付けます(因みに画像のへラは先生の手作りです)。ニカワが布に染みて濡れ色になります。ヘラは強めにしごく感じに動かし、皺や空気が入らないようにしっかり貼り付けます。この時、板と布の間に空間ができると、後で白亜地が剥落してしまうので要注意です。
布がぴっちり貼付いたら、更に上からハケでニカワを塗布します。この時もニカワは多めです。
全体にニカワを塗った後、ヘラでしごきながら余分なニカワをこそげ落とします。
ギュッギュッと力を入れてしごく事で、布を板に完全にピタ~っと貼り付けます。
表が乾いてから、側面、裏面もニカワで布を貼り付けます。
ここまでできたら、一旦、ニカワを完全に乾かします。
乾いたときに、布が板からプクっと浮いている箇所があれば白亜地の割れの原因になります。注射器などを使用して板と布の間にニカワを注入し完全にくっつける事が必要となります。
地塗り剤の塗布
次に麻布を貼った板に地塗り剤を塗って行きます。
容積比で ニカワ:白亜:チタニウムホワイト = 1:1:1 を計量カップで測っておきます。
湯煎でサラサラにしたニカワに白亜、チタニウムホワイトを振り入れます。
ゴムベラを使って、白亜とチタニウムホワイトが偏らないように良く混ぜ合わせます。空気が入らないように気をつけてください。
仕上がった地塗り剤は少し固めが使い易いです。気温が高いシーズンにはボウルのお尻を氷水に浸してニカワを少し固めると作業がし易くなります。
一層目は指の腹を使って、麻布の目地に地塗り剤をギュッギュッと刷り込みます。指紋が無くなりそうになります(この後、しばらくsaccoは指紋認証ができませんでした^_^;)。
一層目が乾いたら、次からはヘラを使って地塗り剤を塗って行きます。
乾いたら更に塗り重ね、合計7回ヘラ塗りを繰り返します。あまり厚塗りにしたり、ドライヤーなどで一気に乾かすと地割れの原因になりますので、気長に作業をしましょう。ヘラの動きは、縦と横を順番に繰り返しましょう。
7回塗れたら、完全に乾くまで数日置いておきます。
磨き
地塗り剤がしっかり乾いたら、後は紙やすりで磨き、表面を平滑にしたら出来上がりです。
240番の紙やすりを使いました。板面が平らになるように木っ端にヤスリを巻き付けて使います。
シャリシャリシャリ、と丁寧に。今回はシルバーポイントの作品を制作しますので、芯先が引っ掛かったり段差ができないように 時々、光源に斜にさらして凹凸の有無を確認しましたよ。
側面も白亜地がデコボコになっていますので、綺麗に整えておきましょう。
はい、お疲れ様でした。
これで白亜地の支持体の完成です。
綺麗な板に描くのは、気持ちもピンと張り詰めて気持ち良いものです。
これから、シルバーポイントの作品を作るべく、今、モチーフをあれこれ考え中です。どんな作品になるのか、ワクワクしてますよ。
本日もお付き合いありがとうございました。