今日は水彩画を描くときの必須作業、水張りについて説明しますよ。
水張りとは、作品が仕上がった時に紙がビロビロにならないように、紙を湿らせて延ばした状態で板に張り付ける作業です。作品が仕上がった後で水張りをすることもできますが、絵具が水で動いてしまうリスクがありますので、描く前にしておくのが無難です。
水彩画は水彩紙という紙を使って描きます。
水彩紙にはいろいろと種類があり、パルプやコットンが主流です。探せばいろんな種類がありますので、例えば竹の繊維を使った和紙なんていうものもあります。
いろいろ試してみて、自分の描きやすい紙を見つけると良いでしょう。
また、作風によって使い分ける事ができるといいでしょうね。
では、早速作業に入りましょう。
先ず必要な道具は、紙を貼り付けるための板、水を含ませるためのハケ、そして紙を板に貼り付ける為の水張りテープです。
水張りテープは、白以外に色つきのものもありますし、幅もいろいろあります。
今回はF6サイズの紙に25mm幅の水張りテープを使いました。
saccoが好きなのはグリーンです。
グリーンが好きな理由は、制作の過程で絵の周りを濃い色で絞める事でフレーム感があり締まって見えるからです。額装をした時のイメージも掴みやすいですね。また、幅の広い有色の水張りテープは水張り以外にもいろいろと使えます。好みの問題ですからお好きな色を使ってください。
水張り用の板は、普通にホームセンターで売っているベニヤで大丈夫です。水分を含むと反りがでる場合もありますので、4~5mm厚くらいの板が良いですね。あんまり厚いと重くなって扱い辛いですが。
もちろんパネルならば問題ありません。
こういうのね。↓ 少し大きめのものを購入しておくと、いろんなサイズの作品に使えますよ。
木製パネル シナベニヤパネル F10 (530×455mm) 厚み19.5mm
板のサイズは、最低でも紙の端から1.5cmくらいは大きめのものが必要です。水張りテープを貼り付けるからです。
また、ベニヤは濡れると色がつくものもありますので、事前にしっかり水拭きをしておきましょう。
準備が整ったら紙にハケで水を塗ります。
最初に紙の背面です。
水を含んだ紙はこのようにくるくると丸まってきますが、2~3分置いて紙の中に水が染み込むと、ダラーと伸びてきます。
更に紙をひっくり返して表に向け、裏と同様にハケで水を塗ります。
水はビタビタになっても良いのでたっぷり塗ります。特に冬や夏のエアコンを使った部屋は乾燥していますので、作業中に紙が乾くのを防ぐため少し水たまりができるくらいが丁度いいです。
紙が十分に水を含んで伸びたあら水張りテープを4辺分カットし、糊の付いている面に水を付けます。画像はハケを使っています。両手でテープの両端を持って水を含ませたスポンジの上をスライドすると簡単です。慣れないうちはテープがクチャっとなったりしますが、慣れてくれば簡単です。
後は水張りテープで紙を板に貼り付けて行きます。
水張りテープは、だいたいテープの幅の半分が紙にかかるくらいに貼り付けます。
順番は諸説ありますが、私は、先ず長辺、紙を良く引っ張って(画像では下方向に)次に短辺、更に紙を右コーナー部分を持って軽く引っ張ってから長辺、最後に短辺、と貼って行きます。ま、要するに弛まないように貼れればo.k.です。
四辺、貼り終わったところです。
紙は乾くと結構縮むので張りがキツくなります。水張りテープの浮きがないよう、しっかりと上から押さえておきましょう。
水張り完了した時は紙がうねってますが大丈夫。乾けばピンっとはります。水たまりが出来ている時は軽くティッシュで拭き取ってね。
急ぐ時はドライヤーで乾かします。自然乾燥でもo.k.。
さて、水張りは完了です。紙が乾いたら描画開始。
ピンと貼った紙に向かって描くのは気分も凜としていいですよ。
描き終わったら、カッターで板から絵を剥がして完成です。
板は何度も再利用をすると思いますが、水張りテープの糊は案外強力です。
板に糊の成分が残っていると、次の作品が板に張り付いて剥がれなくなる、なんていうトラブルもありますので、流水でしっかり洗い流し、ぞうきんで綺麗に拭いておきましょう。
また、使い終わった水張りテープは密封できる袋に入れ、できれば乾燥剤も入れて保管してください。湿気を吸うと糊がひっついてしまいます。
また、あまり長期で保管すると糊が劣化してひっつかなくなりますので、ま、2~3年のうちには使い切るのが良いかと思います。
以上、本日は水彩画の基本の「キ」、水張りについてでした。
本日も最後までお付き合いありがとうございました。